スクエアビルクランクの代表にしてスタンダードな地位を確立したLC1.5。
もはや世界基準と言ってもいいかもしれません。
LCといえば思い出すのが、アメリカで活躍する日本を代表するバスプロ大森貴洋氏の2018年バスマスターエリート レイクマーチン戦優勝。
Bassmaster Elite: Lake Martin 2018
February 8–11 Lake Martin, Alexander City, AL
2月のまだ寒いなかLC1.5DRS TOクローをメインに、グリグリ巻いてバッタバッタと釣っていくシーンは痺れましたね。
このとき多用していたのがRTO1.5 LC1.5 LC1.5DRSだった訳ですが、前日にラインブレイクしてロストしたLCが口に着いたままのバスがキャッチされたシーンは印象深かったです。
https://www.bassmaster.com/video/takahiros-lucky-catch/
それまでバルサウッド製クランクを使っていたアメリカのプロ達もLCの登場でオールド品のウッドクランクを探さなくて良くなったという話も。
さて大森プロとクランクベイトといえば、2004年8月1日ノースキャロライナ州レイク・ワイリーでバスマスタークラッシック日本人初優勝を飾ったとき。
このときは、バグリーのバルサB2で終了間際にキッカーフィッシュを連発する胸熱な展開でした。
勝負できる道具しか使わない大森プロが、その後2018年のレイクマーチンではLCで勝負をかけていたことからも、使えるクランクベイトとして本物であることが伺えます。
RCから始まる歴史とLCとの違いを見ていきます。
■目次
RC→LC RTO→LC
ルアーとしては、RC1.5=RTO1.5≒LC1.5。
RC1.5(Rick Clunn)
2005年発売。レジェンドプロ リッククランのシグネチャーモデルとしてバスプロショップスから発売されたのが始まり。
このときリッククランがFAT CB B.D.S4を気に入っていたことから、これを作るメーカーなら最高のクランクベイトが作れるはずとラッキークラフトを指名したとのこと。
頭にはリッククランのサイン、お腹にはRCの文字。
コンセプトは、「バルサB2、B3のアクションを、小型のプラスチック製クランクで再現する」。
最初にリリースされたのが1.5サイズで、アメリカを考えるとやや小ぶりに感じるサイズですが、とにかく数を揃えていきたい場面で使えるようにという思いからこのサイズが作られました。その後アクションは同様にサイズを変えて展開。
クランクベイトの神様と呼ばれるリッククランの、クランク理論が詰まったルアーです。
LC RTO1.5(Respect Takahiro Omori)
2012年RCがリニューアル。リッククランとラッキークラフトとの契約が終了すると共にリッククランからの指名もあり、大森貴洋プロのシグネチャーモデルとして名称変更し引き続き発売されます。
RCとまったく同じ仕様で、違いはヘッドのサインとルアー名のみ。パッケージ裏のマークもバスプロショップスからラッキークラフトのロゴに変更になっています。
LC1.5(Luckycraft Crankbait)
内部ウエイトの材質が変更されると同時に名称もLCに。不確かですが、2017年頃から店頭のパッケージが変わり始めた記憶。
主な違いは2つ入っている内部ウエイトのうち、メインウエイトの素材がタングステンから鉛に変更になったこと。
ヘッドやベリーにネームはありません。
派生モデルのLC1.5DRS(Deep Rattle Sound)は、ベリーに「LC1.5 DRS」の記載在り。
DRS(Deep Rattle Sound)は、ビッグフィッシュに効くと言われるワンノッカータイプのコトコト音を発するタイプです。
より詳細な経緯については釣り人onlineが参考になります。
ラッキークラフト LC RTOシリーズ“Respect Takahiro Omori”に込められた歴史と思い
ウエイトが変わったことによって内部の空気量と重心位置がかわり、RTOのほうが若干低重心でアクションにキレがあるとか、潜行レンジが僅かに浅い等言われていました。
さて、実際どうなのか気になって削ってみました。
RTO1.5とLC1.5の違い
RTOは内部ウエイトがフックアイ一体式タングステンウエイト+鉛。
LCは内部ウエイトが鉛+鉛になって、エイトカンの搭載箇所が設けられています。
他にもリブの位置など、外からは似て見えるボディですが再設計され金型から作り直されていました。
察するに、タングステンを使わずにRTOと同じアクションが出るように設計されたように見受けられます。
同じLCでもブルーブリームの方に合った嚙み合わせピンのようなものが、もう一つでは無くなっていたりしたので、LCになってからも金型のマイナーチェンジが行われていそうです。
これはどれが良いということではなく、状況に合わせてっていう話ですが。アクションとしては使ってる分には素人レベルでわかるような違いは感じませんでしたね…。
スペック
RC1.5、RTO1.5、LC1.5共にスペックは共通。
重量 | 約12g |
全長 | 約6cm |
ウエイト | 固定重心 ノンラトル |
フックサイズ | フロント#4 リア#4 |
少し角に丸みをもたせたスクエアリップは薄目に仕上げられ、付け根からラインアイが出ている設計。
必要十分な浮力とはいえ、ウッドクランクと比べれば浮力が弱い分カバー回避能力に若干劣る部分があります。
が、リッククランもそこはロッドワークやテクニックでカバーすれば良いと言っています。
1.5はサイズを表したもので潜行深度ではありません。
ちなみに「イッテンゴ」ではなく、米国では「ワンポイントファイブ」と呼ばれるよう。
今では0.1から6.5まで、豊富なサイズ展開と、ショップオーダーを含めて数えきれないほどのカラーがあります。
また、タイプもそれぞれにSSR~DDまで多様。→ラッキークラフトUSA
アクションは、つり人社からRTOの水中アクション動画が出ています。
2018年バスマスターエリートレイクマーチン戦はこちら。
インプレ
固定ウエイトでアクションの立ち上がりが早く、ロッドワークでレンジ調整がしやすいクランクベイトです。
泳ぎは頭の後ろを中心にウォブリングとロールがバランスよく混じったブリブリと身を捩るようなウォブロール。ラインや飛距離にもよりますが、潜行深度はだいたい1m程。
巻き抵抗もそんなに重くないため、探って流すようなときはもちろん使いやすいですが、中層の魚を引っ張るパワーも感じます。
潜行角度は浅めで、ハードボトムでのスタックはしにくく感じますが、1m以浅だと形状がらフロントフックがボトムのゴミを拾いがち。
早巻きすると絶妙な千鳥加減をみせます。
大森プロはシャッド系やクローカラーがメインで、ほとんどの場合フィールドのベイトに合わせたカラーでこなすそう。
個人的には霞だとTOクロー、ブルーブリーム、チャートリュースパーチ、コッパーグリーンシャッドがよく使うカラー。
もちろん状況やフィールドによってですが、北浦系のオープンウォーターや水のキレイなエリアで中層を釣るのにはコッパーグリーンシャッドやチャートリュースパーチが信頼度が高くなっています。
ローライトや土濁りには一番好きなブルーブリームを入れる感じで、あとは気分。
葦際や土底にはやっぱりTOクローの出番が多くなります。
浅いところ用に1.0も常備しているのですが、どうしても土底の場合ゴミを拾いがちになるのでTOクローだけは1.5、1.0共にダブルフックに換装したものも用意してます。
1.0は横アイのためスプリットリングをかませてダブルフックを使えるのも気に入っている点。ただダブルフックはファイト中に開くこともあるので、PEラインで根元を巻いておくと安心ですね。
フック交換は必須。
購入時の初期フックはちょっと大きいと感じるので、ワンサイズ落としています。
トレブルフックはがまかつトレブルRBの#5かリューギピアストレブル#5を合わせることが多いです。
ダブルフックはリューギピアスダブル#4あたりがマッチします。
(1.0の場合はトレブルRBの#7又は#6と、ピアスダブル#6。)
おわりに
やはり使えるシャロークランクは常に求められるものなのか、リッククランが移籍したLUCK-E-STEIKE社からRC2シリーズとして同様のスクエアビルクランクが出されたり、ストライクキング者からはケビンバンダムプロデュースのKVDシリーズがあったりします。
とにかくワイドウォブルとか、スーパーハイピッチだとか、高浮力とか、ズバ抜けた特徴があるわけでもないですが、とことんハイバランスに仕上げられた釣れるクランクベイト。
強いて言うならばリッククランの想う釣れるクランクをピュアに追求した結果生まれたシリーズです。
スクエアビルクランクのブームを生み、グローバルスタンダードにもなったクランクなので一度使ってみてください。
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